Ki-No-Otonai

vol.5

清明

Seimei

2024.4.4 ― 4.18

清らかに
生き生きと歩む

大地のすべてのものが清らかで明るく
生き生きとする季節。
「清明(せいめい)」は、この時季を形容する
「清浄明潔」という言葉に由来します。
人の心を清々しく明るくしてくれるのは、
春のやわらかな陽射しか、
生きとし生けるものの生命の輝きか。

春の空にのぞみを見る。

この頃は「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」というように
春風がのどかに、そよそよと気持ちよく感じる季節。
やわらかな風に乗り、心地よく舞う燕の姿が見られるようになります。
七十二候では清明の初侯は「玄鳥至(つばめきたる)」。
燕が南方から渡ってくる季節です。
むかしから燕が巣をつくった家は栄えるといわれ大切にされました。
春にやってくる可愛らしい福の使者を、ぜひお迎えしたいものです。

清明の末侯は「虹始見(にじはじめてあらわる)」といい、
虹が出はじめる時季です。
春も深くなると大気も潤い、
雨上がりには春らしい淡い虹が見られるようになります。
「虹」は夏の季語ですが、
その年に初めて見る「初虹」は晩春の季語。
この春、新生活をはじめられた人にとっては、
うっすらとでも見える初虹が、
きっと希望の架け橋のように見えることでしょう。

野も山も人も笑む季節。

草木の緑がみずみずしくなり、花々は咲きはじめ、まさに山笑う季節。
野山に出て、春を身体いっぱいに感じたくなります。
そのむかし、この時季の山を笑うと表現した人の顔も
きっと笑みを浮かべていたことでしょう。
そうして人は幾年も自然につられて笑みを返し続けてきたのですね。
さあ、この春を存分に愉しみましょう。

草萌える頃、野に出て青々とした草を踏み遊ぶことを
「踏青(とうせい)」といいます。
古代中国の風習が伝わり、
日本では「青き踏む」という言葉になりました。
春の光を浴びながら野遊びに興じ、春の喜びを味わう。
できれば素足で春を感じたいところですが、
健気に咲く小花まで踏むのは可愛そうなので、
気をつけながらはしゃぎましょうか。

小さな声で
春を告げるものたち。

花笑みの季節。
桜をはじめ、蕾が開く花木が多いなか、花は足元にもたくさん見られます。
そんな小さくとも目一杯春の訪れを告げる姿にも目を向けてみたく、
代表して忘れな草を印伝に取り入れました。
微笑みをくれる春の小さな模様です。

「忘れな草」模様の印伝

F小銭入01[紺地/白漆]
2,200円(税込)
F小銭入05[黒地/ピンク漆]
5,500円(税込)
札入H[紺地/白漆]
SOLD OUT
束入S[紺地/白漆]
25,850円(税込)
角ミラー[黒地/ピンク漆]
SOLD OUT
スマホポシェット[紺地/白漆]
15,400円(税込)

「忘れな草」模様の印伝は、形や色の組み合わせがさまざま。上記以外の商品については、印傳屋直営店へお問い合わせください。

季の訪い
季の訪い

頰を撫でるそよ風に、
ふと見た野辺の草花に、季節を知る。
あめつちの間で、ひとは千年以上も前から
季の趣を細やかにとらえ、
風物や自然の恵みを愛おしんできました。
一日一日を過ごす時の流れは、
むかしほど緩やかではない
かもしれませんが、
その感性は今も誰の心にもあるものです。

季節の移ろいと、そこに寄り添い
生きてきた
日本の暮らしと文化をなぞり、
日本人のひとつの感性として
生み出してきた印伝とともに
二十四の季をみなさまと
めぐってまいりたいと思います。