Ki-No-Otonai

vol.10

夏至

Geshi

2024.6.21 ― 7.5

涼のひとときを
暮らしに

暦の上で「夏至」は夏の真ん中。
一年で最も昼が長い日を迎えました。
とはいえまだ梅雨の真っ只中で、
日が長いとはあまり実感できないかもしれません。
夏至を過ぎれば、いよいよ本格的な夏。
暑さとの上手な付き合いかたを、
暮らしに取り入れてみませんか。

雨色の咲く姿に、
いっときの涼を感じる。

夏至の次候、七十二候では「菖蒲華(あやめはなさく)」といい、
その名の通り花菖蒲が咲く時季。
蒸し暑さを感じるこの頃にあっても、水辺に咲く花菖蒲の青や紫は、
瑞々しい葉や茎の緑と相まって涼しさを感じるもの。
「雨降花」と呼ばれる靫草(うつぼぐさ)や昼顔も、
雨の色が染まったからなのか夏のひとときに小さな涼を添えてくれます。

六月も末になると、各地の神社では「夏越の祓」(なごしのはらえ)という行事が行われます。
一年の半分にあたる日に半年の穢れを落とし、これから半年の息災を祈願するもので、この日に「水無月」という和菓子を食べる風習があります。
これは室町時代に宮中で氷室の氷を口にして暑気払いしたことに由来し、氷を模した三角の外郎の生地に、厄除けを意味する小豆を散らしたもの。
見た目にも涼しげな和菓子を食すのも、この時季の愉しみのひとつです。

日本には、
そよ風を心地よく愉しむ
文化がある。

音で涼をとるのも、日本らしい文化です。
風鈴は古くは平安時代から使われ、陶器や青銅、ガラスと時代が進むにつれさまざま音色が生まれてきました。
蒸す日でもわずかなそよ風を受けて、涼しげな音色を響かせてくれる風鈴。
お好みの心地よい音を選んで、癒しのひとときに包まれるのもいいものです。

家のまわりに打ち水をし、縁側で団扇(うちわ)片手に夕涼みをする。
これも日本の夏の風物詩ですが、現代ではエアコンだけで済んでしまうのでしょうか。
街では携帯用の手持ち扇風機を使う姿が多く見られるようになりましたが、扇子を使うのもやはり風情があっていいものです。
ゆったりと扇ぐ仕草には、その人の品のよさが漂って見えてきます。

涼の道具を永く使えるように。

扇子は和装なら帯に差すことができます。
ふだんはバッグに入れておきますが、出し入れする際に傷まないよう、なるべく扇子入に収めたいものです。
印伝の扇子入は、色や模様の組み合わせが実に多彩。
扇子と同系色で選んだり、模様の謂れ(いわれ)から選んだり、自分好みの扇子入を探して、
涼をとる日本伝統の道具をずっと大切に使っていただきたいと思います。

印伝の扇子入

扇子入(大)[黒地/白漆/青海波]
6,050円(税込)
扇子入(大)[黒地/白漆/とんぼ]
6,050円(税込)
扇子入(大)[紺地/白漆/青海波]
6,050円(税込)
扇子入(大)[紺地/白漆/とんぼ]
6,050円(税込)
扇子入(大)[濃茶地/白漆/小桜]
6,050円(税込)
扇子入(大)[濃茶地/白漆/青海波]
6,050円(税込)
扇子入(小)[赤地/白漆/とんぼ]
5,830円(税込)
扇子入(小)[紺地/白漆/青海波]
5,830円(税込)
扇子入(小)[うぐいす地/白漆/小桜]
5,830円(税込)
扇子入(小)[うぐいす地/白漆/青海波]
5,830円(税込)
扇子入(小)[うぐいす地/白漆/とんぼ]
5,830円(税込)
扇子入(小)[紫地/白漆/小桜]
5,830円(税込)

印伝の扇子入は、形や色の組み合わせがさまざま。上記以外の商品については、印傳屋直営店へお問い合わせください。

季の訪い
季の訪い

頰を撫でるそよ風に、
ふと見た野辺の草花に、季節を知る。
あめつちの間で、ひとは千年以上も前から
季の趣を細やかにとらえ、
風物や自然の恵みを愛おしんできました。
一日一日を過ごす時の流れは、
むかしほど緩やかではない
かもしれませんが、
その感性は今も誰の心にもあるものです。

季節の移ろいと、そこに寄り添い
生きてきた
日本の暮らしと文化をなぞり、
日本人のひとつの感性として
生み出してきた印伝とともに
二十四の季をみなさまと
めぐってまいりたいと思います。