何色にも染まる白か、
もの寂しい白か。
平安時代の古今和歌集には、歌人・藤原敏行が詠んだこんな歌が収められています。
「白露の色はひとつをいかにして 秋の木の葉を千々にそむらむ」
白露は一色なのに、いかにして秋の木の葉をさまざまな色に染めるのだろう、と。
秋は白に始まり、やがて黄に紅に色とりどりに染まっていく。
言われてみれば不思議なものですね。
そう詠んだ気持ちは、移ろう季節を肌で敏感に感じ取っていたからこそ湧き起こるものなのでしょう。