農の人の願いから
生まれた縁起。
二十四節気の穀雨は、
稲作では苗代づくりや田植えの準備をする目安。
立春から数えて88日目にあたる「八十八夜」という雑節もこの頃にあたり、霜が降りる心配もなくなり、種まきなど農作業をはじめる目安とされてきました。
「米」の字を分けると「八十八」となり、また末広がりの「八」が重なることからこの日は縁起のいい「農の吉日」とされています。
Ki-No-Otonai
vol.6
Kokuu
2024.4.19 ― 5.4
「穀雨(こくう)」とは百穀を潤す雨が降る時季。
この頃に農作物の種をまくと雨に恵まれ、
よく育つといわれます。
成長の一歩となる大事な春の雨。
その雨粒に人々は感謝と祈りをこめてきました。
二十四節気の穀雨は、
稲作では苗代づくりや田植えの準備をする目安。
立春から数えて88日目にあたる「八十八夜」という雑節もこの頃にあたり、霜が降りる心配もなくなり、種まきなど農作業をはじめる目安とされてきました。
「米」の字を分けると「八十八」となり、また末広がりの「八」が重なることからこの日は縁起のいい「農の吉日」とされています。
「夏も近づく八十八夜」でお馴染みの唱歌は、
この時季の茶摘みを歌ったもの。
八十八夜に摘んだ一番茶を飲むと、その年は無病息災、
長生きできるといわれてきました。
茶畑では、ありがたい一番茶を摘んだあと、
感謝の心をこめて「御礼肥え」を施すそうです。
そうして二番茶、三番茶も健やかな生長を願う。
自然を相手にする人の心持ちが、
そうした呼び名に表れているのですね。
穀雨の時季の雨は農作物だけでなく、すべての植物に潤いを与え、
夏に向け旺盛に伸びゆく生命力の糧となります。
この頃は大型連休に入りますが、
雨の日となってしまってもそうがっかりせず、
人の暮らしに潤いを与えてくれる緑のための恵み
と思って優しい春の雨を迎えてあげましょう。
伸びゆく植物を図案化した模様に唐草があります。
これは世界の古代文明に見られ、
奈良時代、シルクロードを経て中国から日本に伝わり、
有職文様に取り入れられました。
そこから次第に和洋化した多彩な蔓草の形が生まれ、
力強い生命力や繁栄の象徴として
さまざまな芸術、工芸作品に描かれていきます。
どこまでも絶えることなく続く唐草の模様。
力強い生命力をもつ蔓に人は願いを重ね、模様として取り入れたのでしょう。
日本の伝統模様、唐草は印傳屋にも受け継がれています。
唐草が描かれた模様の印伝を手にしたら、これからのことを想ってみてください。
進もうとするその心を、春の雨が優しく背中を押してくれるでしょう。
「爪唐草」「花唐草」模様の印伝は、形や色の組み合わせがさまざま。上記以外の商品については、印傳屋直営店へお問い合わせください。
頰を撫でるそよ風に、
ふと見た野辺の草花に、季節を知る。
あめつちの間で、ひとは千年以上も前から
季の趣を細やかにとらえ、
風物や自然の恵みを愛おしんできました。
一日一日を過ごす時の流れは、
むかしほど緩やかではない
かもしれませんが、
その感性は今も誰の心にもあるものです。
季節の移ろいと、そこに寄り添い
生きてきた
日本の暮らしと文化をなぞり、
日本人のひとつの感性として
生み出してきた印伝とともに
二十四の季をみなさまと
めぐってまいりたいと思います。